一休宗純, 富士正晴

森公乗輿   鸞輿盲女屡春遊   鬱鬱胸襟好慰愁   遮莫衆生之軽賤   愛看森也美風流   美しい車にのって 盲女しばしば春遊び 鬱したる気分にはいい 愁いが慰む どうでもいいよ 人々が下にみるとも わが愛し看る森よ はんなりしてるよ 美人陰有水仙花香   楚台応望更応攀   半夜玉床愁夢顔   花綻一茎梅樹下   凌波仙子遶腰間   女体視るべし のぼるべし 夜半のベッド 人恋し気な顔がある 花はほころぶ一茎 梅樹の下に 水仙は腰の間をめぐるなり 九月朔森侍者借紙衣村僧禦寒。 瀟洒可愛。作偈言之。   良霄風月乱心頭   何奈相思身上秋   秋霧朝雲独瀟洒   野僧紙袖也風流         ああええなあ むらむらするわ どないしよう 思い合うてる仲じゃけど なんとまあ おまえばかりが瀟洒じゃな わしの紙衣も 見栄えがしたわ あほらしくてこんな風に反訳するより仕方がない。良霄風月も、 秋霧朝雲も、つまりは森へのほめ言葉にすぎぬ。